「ファームウェアが必要なデバイス」 で述べたように、ある種のデバイスはファームウェアを読み込む必要があります。多くの場合、ファームウェアが有効でないとデバイスはまったく動作しません。場合によっては、ファームウェアがない場合、基本機能は損なわれませんが、追加機能を有効にするためだけにファームウェアが必要になります。
Debian GNU/Linux 12.0 を始めるにあたって 2022 非フリー版のファームウェアに関する一般的見解 で、オフィシャルインストーラーに非フリーのファームウェアを同梱することにしました。とはいえ、ファームウェアをすべて網羅することはできませんので必要なものが入っていない場合もあります。 また、netboot版にはファームウェアは同梱されていません。
利用できないファームウェアをデバイスドライバが要求する場合、debian-installer
は見つからないファームウェアを要求するダイアログを表示します。このオプションが選択されると、debian-installer
はルーズなファームウェアファイルと、ファームウェアのあるパッケージの両方を、利用できるデバイスについて検索します。見つかると、ファームウェアを正しい場所 (/lib/firmware
) にコピーし、ドライバモジュールを再読込します。
注記 | |
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どのデバイスがスキャンされるか、どのファイルシステムをサポートしているかは、アーキテクチャやインストール方法、インストールの段階に依存します。特にインストールの初期段階では、ファームウェアの読み込みには、FAT フォーマットの USB メモリがもっとも成功の可能性が高いでしょう。i386 や amd64 のファームウェアは、MMC や SD カードからも読み込めます。 |
ファームウェアがなくてもデバイスが動作することを知っていたり、インストール中にそのデバイスが必要ない場合は、ファームウェアの読み込みをスキップできることにご注意ください。
そのようなファームウェアを読み込むもっとも一般的な方法は、USB メモリのようなリムーバブルメディアから読み込むことです。USB メモリ (ないし、ハードディスクのパーティションのような他のメディア) を準備する際、ファームウェアのファイルやパッケージを、メディアのファイルシステムのルートディレクトリ、あるいは /firmware
というディレクトリのどちらかに配置する必要があります。ファイルシステムには、インストールの初期段階でも間違いなくサポートされている、FAT を使用するのをお勧めします。
最も一般的なファームウェアの最新パッケージと、インストーラーによって確実に正しく検出するための関連メタデータ (dep11
ディレクトリ) を含む tarball や zip ファイルは以下から入手可能となっています:
対応するリリース向けの tarball か zip ファイルをダウンロードし、メディアのファイルシステムに展開するだけです。
また、個々のファームウェアファイルを、メディアにコピーもできます。ルーズなファームウェアを、例えばすでにインストールしたシステムや、ハードウェアベンダから入手できます。
インストール中に読み込んだファームウェアは、いずれもインストールしたシステムに、自動的にコピーされます。多くの場合、これによりシステムをリブートして新しいシステムにしても、ファームウェアが必要なデバイスが確実に動作するでしょう。しかし、インストールしたシステムが、インストーラーと異なるバージョンのカーネルで動作している場合、バージョンのずれによりファームウェアが読み込めない可能性がわずかにあります。
ファームウェアパッケージからファームウェアをロードした場合、debian-installer
はインストールしたシステム向けにも、このパッケージをインストールし、APT の sources.list
に、パッケージアーカイブの non-free-firmware セクションを自動的に追加します。これには、ファームウェアの新しいバージョンが入手可能になると自動的に更新できる、という利点があります。
インストール中に、ファームウェアの読み込みをスキップした場合、おそらくファームウェア (パッケージ) を手動でインストールするまで、関連するデバイスがインストールしたシステムで動作しないでしょう。
注記 | |
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ファームウェアをルーズなファームウェアファイルから読み込んだ場合、インストール完了後に対応したファームウェアパッケージをインストールするまで、インストールしたシステムにコピーしたファームウェアは、自動的に更新されません。 |
関連するファームウェアが取得できなかった、その時点ではファームウェアをインストールしないという選択をした等、どのようにインストールが実施されたかに応じて、インストール作業中では検出されなかったファームウェアが必要になる可能性があります。いくつかのケースでは、インストールが成功したにも関わらずシステム再起動後にブランクあるいは文字化けした画面が表示される可能性があります。このような場合、以下の回避策を試みることが出来ます:
カーネルコマンドラインに nomodeset
を渡す。「fallback graphics」 モードでの起動ができる可能性があります
Ctrl+Alt+F2 の組み合わせを使って、動作しているログインプロンプトが表示される VT2 (仮想端末2) にスイッチする