3.4. 必要な最低限のハードウェア

コンピュータのハードウェアに関する情報が集まったら、そのハードウェアが今から行おうとしているインストールの条件に足るものであるかどうかをチェックしましょう。

やむを得ない場合は、以下に載っているリストよりは性能の劣るハードウェアでなんとかしなければならないこともあるでしょう。しかし、これらのお勧めを無視した場合は、結局不満を感じる可能性が高くなってしまうと思います。

表3.2 最低限必要なシステム (推奨値)

インストールタイプ RAM (最小) RAM (推奨) ハードディスク
デスクトップなし 512MB 1GB 4GB
デスクトップあり 1GB 2GB 10GB

この最小値はスワップを有効にして非ライブイメージを使うことを前提としています。デスクトップなしの値はテキストベースのインストーラ(非グラフィカル)を使うことを前提としています。

実際に必要な最小メモリはこの表に挙げたものよりも少なくなります。スワップを有効にすれば、最小 245MB で Debian をインストールできます。必要なディスクスペースにも同じことが言え、特にインストールするアプリケーションを選択する場合に必要なディスクスペースについての追加情報は、「タスクに必要なディスクの空き容量」 をご覧ください。

インストーラは通常自動でメモリ節約トリックを有効にしてそのような低メモリシステム上でも動作しますが、あまりテストが行われていないアーキテクチャではそれが働かないかもしれません。ただそれでも手動で lowmem=1lowmem=2 というブートパラメータを追加することで有効にできます (「利用可能なメモリのチェック / 低メモリモード」「Debian Installer パラメータ」もご覧ください)。

メモリやディスク領域が少ないシステム[2]へのインストールも可能ですが、経験を積んだユーザにのみお勧めします。

旧式ないしローエンドシステムでも、グラフィカルデスクトップ環境を実行できますが、GNOME や KDE Plasma といったデスクトップ環境よりも、リソースを消費しないウィンドウマネージャをインストールするのをお勧めします。代替品には、xfce4, icewm, wmaker が含まれますが、他にも選択できます。

インストール時に必要なメモリやディスクの量は、どのようなサーバとして使用するかによって異なるため、一般的な量の提示は事実上不可能です。

これらのサイズには、通常存在するユーザファイル、メール、データなどは含まれていないことにご注意ください。自分のファイルやデータに必要な容量は、気前良く確保しておくに越したことはありません。

Debian GNU/Linux システムを円滑に操作するのに必要なディスクスペースについては、お勧めするシステム要件で考慮されています。特に、/var パーティションには、ログファイルのような一般的な内容に加え、Debian 特有の状態情報が多く置かれます。dpkg のファイル (インストールされたパッケージすべてに関する情報) は、簡単に 40MB を消費します。また apt は、インストールする前にダウンロードしたパッケージをここに置きます。/var には最低 200MB は割り当てておくべきですし、グラフィカルデスクトップ環境をインストールする場合には、もっと割り当てるべきでしょう。



[2] グラフィカルインストーラをサポートするインストールイメージは、テキストベースインストーラのみをサポートするイメージよりもメモリが必要で、260MB 未満のシステムで使用するべきではありません。そういったシステムで通常のインストーラかグラフィカルインストーラを選ぶ選択肢が表示された場合は、前者を選択してください。